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「紗枝?どうかした?」
「あっ、な、何でもない」
慌てて誤魔化した私に
聖の表情までが曇る。
「紗枝ってホントわかんねー」
「え?」
「いや、何でもない」
どこか寂しそうに笑った聖は
ドライブモードにギアを入れた。
「じゃ華蔵寺行ってみるか」
そう呟きながら車をバックさせる
彼の喉仏をぼんやりと
見つめながら思う。
分からないのは聖の心だ。
あなたはどうしたら
その心を私に開いて
くれるのだろう。
二次元の世界だけでいいと
私を突き放してみたり…
けれどこうして
同じ空間にいる時は
慈愛に満ちた瞳で私を
虜にする。
本当のあなたは…
伊吹 聖なのだろうか。
それともゼウスなのだろうか…。
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