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私が給湯室で放心状態になっていると、専務が戻ってきた。
「相沢さん?大丈夫ですか?」
「あ、はい。…あの、すいません」
専務の顔を見ることが出来ずに、下を向きながら答えた。
「…相沢さん、今日は、このままお家に戻って大丈夫です。ゆっくり休んでください」
その言葉に顔を上げ、専務を見た。また胸が苦しくなってくる。
「ゆ、悠哉がそう言ったんですか!?」
私、仕事もしちゃいけないの!?
「相沢さん、落ち着いて下さい。決めたのは私です。今の相沢さんの状態で、あそこには立たせられません。ここは、従業員だけでなく、いろんな方たちがお見栄になる場所です。…私の言ってる意味が、分かりますね?」
私は、またも零れてくる涙を拭いながら頷いた。
「今日は、私の秘書に代わりを務めてもらいますので、安心して下さい」
「…はい、すいません」
そう返事をして、専務を見た。
すると、専務が顔を下げ、私から視線を外した。
「…謝らなければならないのは、私のほうです」
「…え?」
「原因は、てっきり噂のことかと…。余計なことを言ってしまいました」
あ…、忘れてた…。
こんな自分に、嫌気がさしてくる。
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