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なるが部屋を出て行った後、俺は椅子に腰掛け、自分の右の手のひらを見つめていた。
俺は、何でこんなに焦ってるんだ?
そう思いながら手のひらを握りしめ、ふぅっと一息ついた。
すると、部屋がノックされる。
コン、コン。
…誰だ?
俺は返事をせずに、ただドアを見つめた。
「社長、私です。よろしいですか?」
…片桐か。
「…入れ」
「失礼します」
ドアを開け、片桐が中に入ってきた。
「おはようございます。出張、お疲れ様でした」
「…ああ」
俺は、片桐に顔を向けることなく返事をした。
「社長」
「…何だ?」
そう返事をして、話しの続きを待っていたが、片桐が何も続けてこない。
仕方なく顔を上げ片桐を見ると、それを待っていたかのように俺を見て話しはじめた。
「私には、理解できません」
「…何が?」
「どうすれば、相沢さんをあんな表情にできるんですか?」
その言葉に、俺はため息をついた。
俺があんな表情に、したくてしてると思ってるのか?
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