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今、私は悠哉の家の玄関前に立っている。
いろいろ考えてしまい、なかなかインターホンが押せずにいた。
…落ち着け、私!
きっと、大丈夫!
自分の胸の中、暗示をかけて、微かに震えてしまう手で、インターホンを押す。
ピンポーン。
悠哉の家のインターホンは、テレビ付き。
たぶん、私の姿がもう写ってるはず。
私は胸の鼓動を手で押さえるのに、精一杯だった。
しばらく待ってみるが、なかなか返事がない。
やっぱり、…来ないほうがよかったかな。
余計な不安が邪魔をした。
もう一度押そうかとインターホンに手を伸ばし悩んでいると、玄関のドアがガチャッと開いた。
そこには、スーツではなく部屋着を着た悠哉が立っていた。
「あ、…あの、いきなり来てごめんなさい。…あの…」
悠哉を前に緊張してしまい、どこを見て話していいかわからなくなり、顔を下に向けた。
「…1人できたのか?」
悠哉の声に、ゆっくり顔を上げる。
「マンションの前まで、なみの旦那さんに送ってもらったんです…」
そう言うと、悠哉は頷いた。
「…入れ」
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