私だけ

4/10
前へ
/40ページ
次へ
…ダメだ。私、我慢できない。 目から次々と溢れてきてしまった。 「…違うよな。…俺が、そんな顔にさせてるんだよな」 私は涙を拭いながら、顔を左右に振った。 「…すまない」 ヤダ。悠哉が謝らないで。 「謝るのは、私です!…ごめんなさい。…私がいけないの。ごめんなさい」 目を見て、しっかり言葉にしてそう伝えた。 すると、悠哉の手が私のほうへ伸びてくるのがわかった。 私は、その手で触れられのを待っていた。 でも、その手はすぐに引き戻される。 悠哉が私から、視線を外した。 …なんで? …もう、私のことイヤになってしまったの? 私、これ以上耐えられないよ。 「…どうしてですか?…もう、見るのも、触れるのも、イヤですか?」 その言葉に、悠哉の視線が戻ってくる。 「…逆だ」 今度は、力強い眼差しで、私を真っ直ぐ見つめた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1103人が本棚に入れています
本棚に追加