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そろそろ上がろうかな。
そう思いながらカウンターを片付け始めると、社長室のドアが開いたのがわかった。
見てみると、悠哉がやってくる。
私が声をかけようとすると、さきに悠哉が話しはじめた。
「なる」
「…はい?」
私が返事をすると、悠哉は一度視線を右へ反らした。
…何?
私は、また何か悠哉に言われてしまうのかと不安に思っていると、ゆっくり視線が戻ってくる。
「今、C社から電話をもらった。…向こう側が、明日どうしても外せない用事ができたみたいで、予定を変更してほしいそうだ」
「あ、はい」
なんだ、良かった…。仕事の話か。
私は安心しながらも、すぐに手帳を取りだし、予定を書き込もうとした。
「…土曜日はキャンセルで、日曜日だけの予定で」
「はい」
手帳にせっせと変更を書き留めていると、しばらく悠哉が黙っているのに気づいた。
私は手帳から顔を上げた。
悠哉と視線が重なる。
すぐ外されるかと思ったのに、悠哉は、私をじっと見つめていた。
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