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息が止まるかと思った。
久しぶりの悠哉の視線に、胸が一気に高鳴った。
「…俺の家に、くるか?」
…え?
思いもよらなかったその言葉に、目を見開いた。
「俺はまだ少し仕事が残ってるからすぐには帰れないが、さきに家に行ってろ」
そう言いながら、ポケットから鍵を取りだして、私の前に差し出した。
あ、…うそ…。私、行っていいの?
言葉に詰まり、胸が張り裂けるかと思った。
私は、悠哉が差し出している鍵を見つめた。
その鍵を受け取ろうとして、ハッと思い出す。
…そうだった。…今から、なみたちが来る。
…どうしよう。
なみに連絡して、今日はムリって言ったほうがいい?
…7時に着くように来るって言ってたよね?…もう、近くまで来ちゃってるんじゃない?
私がしばらく鍵を見つめていると、悠哉が口を開いた。
「…どうした?」
私は顔を上げて、すぐに首を振った。
「ち、違うんです!あの、今日これから、なみたちが来ることになってて、…悠哉、予定入ってたから、私…」
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