それぞれの家族-1

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どうしてだろう。 私の当たり前が、悠哉にはことごとく通じない。 黙ってるのが気になったのか、悠哉が続けた。 「そんな父親でも間接的にだが、ひとつ学んだ教訓がある」 …何? 「俺は、自分の体を自分で害するようなことはしない。…タバコは吸わない。酒も付き合い程度。豪遊なんてもってのほかだ」 …そういえば、そんな悠哉、見たことない。 ずっと見つめていると、悠哉がこっちを振り向いたときにパッと目があった。 穏やかな優しい表情だった。 …そっか。 そうだよ。 きっと、そういう環境があったから、今の悠哉がいるんだよね。 私には私の家族のあり方があるように、悠哉には悠哉の家族のあり方がある。 それを私なりに理解して、ちゃんと受けとめていけばいいのかな…。 そう思い、心の中で頷いた。 「…あの、会長様は、今どこにいるんですか?」 「ああ、今、ロスにいる」 ろ、ろす!? 違った! ロ、ロス!? 私が驚いていると、悠哉はクスッと笑った。 「1年に1回のペースで帰ってくるよ。その時、会わせてやる。っていっても、会社に来るから必然的に会うことになるな」
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