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どうしてだろう。
私の当たり前が、悠哉にはことごとく通じない。
黙ってるのが気になったのか、悠哉が続けた。
「そんな父親でも間接的にだが、ひとつ学んだ教訓がある」
…何?
「俺は、自分の体を自分で害するようなことはしない。…タバコは吸わない。酒も付き合い程度。豪遊なんてもってのほかだ」
…そういえば、そんな悠哉、見たことない。
ずっと見つめていると、悠哉がこっちを振り向いたときにパッと目があった。
穏やかな優しい表情だった。
…そっか。
そうだよ。
きっと、そういう環境があったから、今の悠哉がいるんだよね。
私には私の家族のあり方があるように、悠哉には悠哉の家族のあり方がある。
それを私なりに理解して、ちゃんと受けとめていけばいいのかな…。
そう思い、心の中で頷いた。
「…あの、会長様は、今どこにいるんですか?」
「ああ、今、ロスにいる」
ろ、ろす!?
違った!
ロ、ロス!?
私が驚いていると、悠哉はクスッと笑った。
「1年に1回のペースで帰ってくるよ。その時、会わせてやる。っていっても、会社に来るから必然的に会うことになるな」
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