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少しずつ暗くなっていく空の下を、車は悠哉の家へ向かっていた。
そんな車の中、私は悠哉にさらに謝っていた。
「うちの親相手に疲れちゃいましたよね?…ごめんなさい。本当にごめんなさい!」
「アハハ!なる、それ何回目だ?」
「だって!お父さんもお母さんも、なんかひどかったし…」
すると、悠哉は運転しながらニコッとしていた。
「いいんだ。俺が会いたかったんだから。…気にするんじゃない。それに、かえって話しやすかった」
うう、でも、でも…。
私が1人黙ると、悠哉が続けた。
「…だが、意外だったな」
「え?…何がですか?」
「父親に拒絶されるもんなんだとばかり思ってたが、まさか母親につっこまれるとは… 」
そう言って、さらにクスクス笑い出す悠哉。
…やだ、そんなに優しい笑顔されたら、む、胸が…。
手で胸を押さえながらさっきまでのことを思い出し、また顔が熱くなってきた。
ごめんなさいだけじゃないよね。悠哉の話を聞いてすごくうれしく思った自分がいたんだから。
「…悠哉」
「ん?」
「あの、…ありがとうございます。あんな風に思ってくれてるなんて…。今、うれしくてすごく胸がいっぱいです」
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