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俺が支度を済ませ、キッチンでコーヒーを入れてると、なるもやって来た。
「ああ、どうしよう。間に合うかなぁ?急がなきゃ、急がなきゃ…」
「なる、コーヒーは?」
そう声をかけると、俺を見て口を尖らせた。
「そんな時間ないんですー。もう出なくちゃいけないんですー」
その返事にクスッと笑うと、なるが続けた。
「悠哉のせいですからね。目覚ましに気づかなかったの、私だけじゃないし…、昨日悠哉が…」
顔を赤くさせながら、なにやらゴニョゴニョ言っている。
…まったくお前は、ホントかわいらしい女だな。
最後まで言葉にできないのなら、口にしなければいいのに。
…俺にいじられたいのか?
そう思いながら様子を伺っていると、なるが時計を見た。
「ああ!私、もう出ますから!」
そう言って慌てて振り返るなる。
俺はそんななるの手を握った。
「おい、俺の車に乗っていけ」
「それはダメです!…私、噂とか、もうコリゴリなんです」
「大丈夫だ。会社までは行かずに途中で下ろす。…俺は昨日の取引先に少し回ってから出勤するから」
「…そうなんですか?」
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