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「……そのサッカー部のやつが、
……坂口の、」
いつも歯に衣着せぬ田辺くんが、
口ごもっている。
その様子に嫌な予感が湧き上がり、
わたしは緊張した。
「坂口の、……ナマ乳、
揉み放題だった、って」
「……えっ?」
突拍子もない言葉に、
ふざけているのかと思って
田辺くんの顔を見る。
彼の表情は真剣だった。
「みんなで順番に揉んだ、って。
5分交代で」
「……なに、それ……」
「去年の秋ぐらいだって言うから、
半年近く前だよな」
「……」
「しかもさ、……雪村が知ったら
やばいんじゃないの、
ってそいつが訊いたら、……」
田辺くんは
わたしを顔を見て、言った。
「”雪村も、その場にいた。
――公認だった”って」
カタン、と、何かが落ちる音。
わたしは我に返って、
床に落ちたボールペンを拾い上げた。
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