-2-

14/18
前へ
/39ページ
次へ
「……そのサッカー部のやつが、 ……坂口の、」 いつも歯に衣着せぬ田辺くんが、 口ごもっている。 その様子に嫌な予感が湧き上がり、 わたしは緊張した。 「坂口の、……ナマ乳、 揉み放題だった、って」 「……えっ?」 突拍子もない言葉に、 ふざけているのかと思って 田辺くんの顔を見る。 彼の表情は真剣だった。 「みんなで順番に揉んだ、って。 5分交代で」 「……なに、それ……」 「去年の秋ぐらいだって言うから、 半年近く前だよな」 「……」 「しかもさ、……雪村が知ったら やばいんじゃないの、 ってそいつが訊いたら、……」 田辺くんは わたしを顔を見て、言った。 「”雪村も、その場にいた。 ――公認だった”って」 カタン、と、何かが落ちる音。   わたしは我に返って、 床に落ちたボールペンを拾い上げた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加