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わたしはこの上なく混乱していた。
田辺くんの話が、
耳には入って来ているのに、
全く頭に浸透して来ない。
まるで、脳が理解することを
拒絶しているかのようだった。
そのくせ、
万優架が雪村くんの目の前で
代わる代わる弄ばれる映像だけは
はっきりと浮かび上がって来る。
わたしはその画を振り払うように、
首を横に振った。
「この話、……春山先生には?」
「言ってない。
他に伝えたのは一人だけ」
「……誰に?」
「一応、フジコにだけは話した」
わたしは驚いて田辺くんの顔を見た。
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