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カウンセリング室、 と書かれた札を見上げて、 わたしは一度深呼吸をし、 目の前のドアをノックした。 どうぞ、 という声を聞いてから ドアを開ける。 「……失礼します」 フジコ先生はこちらに 背中を向けて座っていた。 ボールペンを カタ、と机の上に置くと、 座ったまま椅子を回転させ、 くるりとこちらを向く。 「おはよう椎名さん。 ……座って」 「失礼します」と言ってから 勧められたソファに腰を下ろす。 「コーヒーでよかったわよね」 フジコ先生は立ち上がると、 小さな備え付けの 流し台の前に立った。
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