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「万優架と話したんですか」
「話したわよ」
さらさら、と、コーヒー豆が
ペーパーを滑り落ちる音。
「でも、内容は言えない。
……いくらあなたでも、ね」
もう一度、さらさら、という音。
「信用をなくしたら、
カウンセラーなんて
やっていけなくなるでしょう?」
甘ったるい、
そしてすこし掠れた、
ハスキーな声。
――テツヤ、と囁くあの声が、
わたしの頭をかすめる。
わたしはフジコ先生の背中から
視線を外した。
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