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――逃げなきゃ……っ。
わたしは机を掻き分け、
前方の出入り口に向かって走った。
その動きを読んでいたかのように、
先輩がひらりと机の上に飛び乗る。
そのまま飛び石のように机を渡り、
わたしの目の前に着地した。
バシッという鈍い音とともに
目の前に火花が散る。
背中と頭に衝撃を受け、
白い天井が目に入って初めて、
自分が倒れたと知った。
這い逃げようと
うつ伏せになった瞬間、
いきなり後ろから髪を
グイッと引っ張られ、
悲鳴が口から零れる。
エビのように背中を反らされ、
目を開けると、
すぐ傍に先輩の顔があった。
「オマエ、
――調子に乗ってると、マワすよ?」
低い、唸り声のような囁き。
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