-2-

8/18
前へ
/39ページ
次へ
遠のいていく足音の向こうで、 聞きなれたいつもの笑い声が響く。 ――そっか。 ……お友達は廊下で見張り役、 してたんだ……。 ぼんやりとそんなことを考えながら、 わたしは痛む喉を押さえて 起き上がった。 「あーー、あーーー」 ――大丈夫。なんとか声は出る。 こんな時でも真っ先に 喉の状態を確認する自分を 滑稽に感じながら、 ゆっくりと立ち上がる。 「下校放送……間に合うかな……」 散らばった荷物を拾い集め、 のろのろと廊下に出ると、 壁に掛けられた大きな姿見に映る 自分の姿が目に入った。 近づいてみて、自分の顔の酷さに驚く。 頬は腫れ、髪はぐちゃぐちゃに乱れ、 目は真っ赤に充血していた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加