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もつれた髪を手櫛で梳こうとしたけれど、
かなり強く絡まっていて指が通らない。
「痛い……」
弱弱しく呟くと、
一気に涙が溢れてくる。
「痛いよ……」
堪えきれず、えっ、えっ、と
情けない嗚咽が漏れる。
『てかさ、あんたほんとに
悠斗のこと、好きなの?』
『ほんとは、
――春山のこと好きなんじゃないの?』
――沙希先輩は、正しい。
罰を受けて当然だ。
だってわたしは――。
鏡には、嘘と嫉妬が
はっきりと映し出されていて、
――わたしは目の前に突きつけられた
自分の歪んだ顔を、
真っ直ぐ見ることが出来なかった。
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