凄艶 #4

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「いや、中々だよ。イクちゃんも、アイツも」 アイツ、っていうのは、 ユンファの事か。 「藤堂さん、口に出さないから…」 知ってたんなら、知ってるって 言ってくれれば良かったのに。 そう思っていると 「あんまり口には出したら良くない事も、あるからねぇ、」 と、焼酎の入ったグラスを口にする この人は、思ったよりも まともだ 「…そうですね。」 私はそういうと、席を立った 「ちょっと、化粧室いってきます」 身体がそんなに元気じゃないからか、アルコールのまわりが早いかもしれない 火照る身体を少しふらつかせて、私は部屋を出た 「……はぁ」 ため息なんてつくのは嫌いだけど 今日の出来事を思い出すと、憂鬱でならない 私はこれから、あのツーショットをずっと目にしなきゃいけないのかと思うと つらい以外の感情が出てこない 個室を出ると、迷路みたいになった、不思議な通路を私はよろよろと歩いていた 「…………っ!?」
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