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道化師 #2
「あー、暇ないよ。でもジンシルも心配だろ?」
業務用みたいな笑顔をして、蒼太は私を見た
こういう笑顔を、私はよく知っている
この業界特有の作り笑顔だ。
愛想笑いなんてもんじゃない。
笑顔の裏には、人間を金儲けの道具だと割りきって動かす、使う側の見えない野心がつまっている
それが、悪意か善意かといわれたら、そこまでは私にはわかるわけがないけれど
私はそのストレートじゃない、隠れた人間の心を探るのが苦手だ
「それはどうも有難う。ありがた迷惑でしかないけどね」
「いや、俺が居なくても他の奴が控えてるから」
「ちょっと、まさかツアー中、ずっとこの状態なの!?
信じられない!!」
私はカァッとなって、机に手を打ち付け、バンッと大きな音を出した
「信じられないのは、お前だよ。
あんなことしといて、訴えられなかっただけでも、有難いと思えよ」
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