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"コスギ" 私は男をそう呼んでいた 痩せ細った身体に、無精髭には白髪がまじり、 なんだか湿気をおびた髪を無造作に束ねた男は、耳にまとわりつくようなしつこい声を発する ヒー、ヒー、と 話すたびに歯の隙間からもれる息が、生臭い コスギは、どういう経路でか、スンフンと繋がっていた 私は事務所と契約を打ち切ったいまでも スンフンからお金を受け取っていて その橋渡しを担っていたのは、この男だった 不思議と、いつの間にか 母国である韓国や、 仕事で渡日していると、突然姿を現す 気味が悪くても、コスギは私の妨害をするどころか、助長すらしてくれる。 私はコスギに、郁美のマンションの住所と、写真を手渡していた
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