夫婦というもの

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夫婦というもの

. ひとつの毛布に包まって、大樹の背中に顔を埋める。 ぽかぽかして……まるで春の陽だまりのよう。 あまりにも気持ち良くて、起きるのが億劫になるくらい。 大きく呼吸をすると、部屋を漂う柑橘系の香りに混じって大樹のシャツの匂い。 私にとって、いちばんの心の安定剤。 この幸せは、いつまで続くのかな? それとも……幸せには『限り』はないのかな? もしそうなら、いいのにな……。 大樹の温もりに幸せを感じていた日曜日の朝。 部屋中に響き渡るインターホンの音が、眠りの余韻に浸っていた私の耳にも届く。 「……ん。」 まだ夢心地の私は、唸りながら少しずつ瞳を開ける……が。 心地良い布団の中で、睡魔の勢力が増していく。 『ピンポーン』 起きるのを諦めた私の耳に、二度目のインターホンのが聞こえる。 仕方なく枕元の時計に手を伸ばすと、まだ朝の8時だった。 今日は珍しく日曜日の休みを取れたので、昼から大樹と一緒に出掛ける約束をしていた。 あれ……? 大樹がいない。 大樹の温もりを残した枕を、私は彼と勘違いして抱きしめていたことに気づき、少し悲しくなってしまう。 休みの日は、いつも昼前まで寝ているはずなのに……何処に行ったのかなぁ。 .
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