記憶

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それは歌番組の収録の時の出来事。 まだそれほど売れていなかった僕達の楽屋は、他のアーティストとごった混ぜの大部屋だった。 「これ、読む?」 僕達のところにやってきた彼女は、僕らと同じ駆け出しのアイドルグループだった 彼女の手には、日本語で書かれた本が握られていて 「面白いし、日本語もそんなに難しくないから、勉強になるよ」 何度か番組で顔を合わせていて、仲良くなった彼女は、心よく僕にその本を貸してくれた まぁ、他のメンバーは日本語の勉強があんまり得意じゃなくて、 僕はその時、日本語の勉強が楽しくて仕方ない時だったから たまたま僕が借りただけなんだけど。 「頑張ろうね!!」 裏表のない、いい娘だった でも、それっきり。 彼女には出会っていない。
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