呪文

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三十代後半の日本人男性 ボタンダウンのポロシャツに、製品染めのチノ 品のいい出で立ちのこの人は、日本でお世話になっている取引先の代表、長谷川社長だ。 会議用のテーブルで、長谷川さんと向かい合っているのは、昨年に会社を立ち上げたばかりのWINSの代表、イ・シュン社長 ラフなポロシャツにデニムにスニーカー。 とても40代には見えない。 「すみません、お待たせしてしまって」 私はそういって、二人の側に近付いた。 「時間より早いじゃない。待ってないから、大丈夫だよ」 二人は共同出資をしてこの春に新しく企画会社を立ち上げた シュン社長はもともとメーカーの営業をしていたけれど、昨年に独立をした 私はその新しい会社と取引をしていた 長谷川さんとは、別の仕事で取引をしていたのだけれど。 「一緒に仕事をしないか?」 そう話を頂いたのは、先月のこと。 私は仕事の際、いくつかのタタキサンプルを上げる。 中にはもちろん、予算枠に入らなくてボツになる企画もあるわけだけれど、 私のその捨てサンプルをショールームに飾っていたところ、他社で受注が入ってオーダーが二万枚入っているらしい。 要するに、企画提案用の仕事を依頼されたのだ。 契約内容は、こうだ。 月の半分は韓国に入って、こちらで作業をする。 以上
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