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ちょっといつもよりも、曇った声。
そういえば、久しぶりの電話だ。
「うん」
そうとだけ返事をかえす
「ソンミン」
僕の名前をもう一度口にして、彼女は少し沈黙する
「ん…」
特に話題も出てこなくて、僕はぼんやりしたまま相槌をうつ
「大丈夫?」
その彼女の震えた声に、きっと今日あった事件を知っているんだろうかと僕は考えていた
「べつに、どうして」
素直じゃない
「ううん。……なんだか、ちょっと気になったから」
しどろもどろな彼女の声が胸をくすぐる
「ふうん」
「……また」
僕の声に、彼女が声を被せる
「ねえ、今日。帰ったら、部屋においでよ」
ぼんやりしていた。
そういった後の会話は覚えていない。
もちろん
僕がそう言ったこともおぼろげで、夢の中でふわふわしているみたいだった
「……うん。私も。
話したいことがあるから」
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