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障子から明るい日差しが降り注ぎ、小鳥の啼く声が聞こえる。
朝が来たのか?昨日のは夢なのか?
上半身を起こそうとして左肩に激痛を感じる。
「いっ!・・・・つぅ・・・」
あれは夢でなかったんだ。左肩の魂の欠片を優斗くんが噛みついて吸い取った。
お尚の・・・三日月家の魔道の力。
ベッドの隣には優斗が寝ていた。
かすかな寝息を立てて安心したような顔をしている・・・最初あんなに警戒していたのに・・・。
そっと髪に触れる・・・漆黒の髪・・・サラサラと指の間から流れ堕ちる絹糸のよう。
妖狐の時はあんなに大きいのに、こうして見ると若より少し小さいな。
若は妖狐の時の髪の色に深く蒼い瞳。靫様は漆黒の髪に緋色の眼・・・。
不意に片目だけ優斗が目を開けた。
「っ・・・・」
緋色の眼・・・・靫様と同じ。
「優斗くん」
「なに?」
「眼の色が・・・」
「魔道の力を得たからだろ。なぁ・・・傷はどう?」
「痛むよ・・・かなり・・・」
「そか・・・かなり食い込んでいたからな。深くえぐった、腕がきかなくなったらどうしようか」
「それはそれで仕方ないさ。君が助けてくれたんだろう?」
「助けたわけじゃない。その力が欲しかったんだ」
言葉の割に少し頬を染めてそっぽを向いた・・・靫様に似ている。
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