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「ソイツ、いい加減出ていかないの?」
「ソイツ?」
「お前の心にくっついてる靫ってやつ」
今、考えた事を見透かされた。七夜のように何でも心が見透かされて怖い。
「何となく感じるだけだ、怖がるな」
また見透かされた。
「僕が嫌いか?」
「そんな事はないよ」
「でも靫より好きじゃない」
「それは・・・・」
「ムカつく・・・」
そのままダイブしてきた。受け止めたら腕がズキリと痛む!
「いたぁ・・・・」
「あっ・・・ごめん。あんたに僕噛みついたんだ」
「あんたじゃないよ。黒兎だ」
「黒兎って呼んでいい?」
「ああ・・・いいよ」
「お前は僕のモノにする。僕の嫁になれ」
「え?」
突拍子もない優斗の言葉に驚いたがなんというか可愛くて思わず笑ってしまう。
「アハハハハハ・・・・」
「なんだよ笑って・・・失礼な奴」
「そんな発想無かったよ、私も男なんでね・・・普通嫁をもらうしか考えなかったよ」
「そう・・・なのか・・・」
そして優斗を優しく撫でて毛布をかぶせて抱きしめる。
「でもその前に・・・私達は何も始まっていないんだよ。優斗くん・・・キスからはじめようか」
「ん・・・///」
ゆっくりと唇を重ねた。まだ幼くてあどけない少年・・・。
くちゅっ・・・リップ音が聞こえる。でも何度も何度も唇を合わせる。
この甘美な柔らかい果実を味わうような感覚・・・すっかり長く味わってしまった。
そっと唇を放すと顔は耳まで真っ赤で、緋色の眼は潤み、唇はぼんやりと開いて蕩けていた。
「言うことと反応がまるで違うんだね」
「ばっ・・・///・・・んなこと・・・」
震える小さな躰を抱き締めて温かな温もりを感じる・・・そして心の穴が癒されていく。優斗が愛おしい。
「くすんっ・・・」
「まだスネてるの?」
「なんか・・・ムカつく」
「はいはい・・・」
「また子供扱いした」
「私だって成人してないんだ。十分ガキだよ。一緒に成長すればいい」
すごく遠い未来まで永劫一緒のような言い方をした自分に驚いた。
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