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『なぜ泣いてるの?』
遠くから微かに聞える・・・言霊?十六夜や若やあげはちゃんが話していた言葉。
『優斗・・・くん?』
『ちがう、このえ』
『大丈夫、他の人に言ったりしないから』
そういうとつむじ風のようが風が吹いてそこらへんの枯葉を巻きあげた。
風の渦の中に優斗はいた。
「父さんが連れて来た時から僕が見えちゃう人だって思ってた」
「いや、私はもともと法力も弱くて、兄の白兎よりも役に立たない・・・結界すら張れなかった。浄化力しか持っていなかった。若のお役にも、靫様のお役にも立てず・・・」
「そんなことない・・・あんた、シャーマンだろ?」
「憑依体質の事かい?それはまぁそうだけど」
よく若と靫様の話し合いに借りだされたものだ。
「アンタの右肩に何か憑いてる」
「靫様かっ!」
「ソイツ、ボク、コロス」
「待って優斗くん!靫様なら・・・靫様なら・・・」
いつの間にか優斗くんは姿を消していた。
当たりは暮れなずんで月明かりに赤々と一番星がか輝いていた。
肩になにが憑いているのだろう・・・。あとで優斗くんに聞かなければ・・・。
服に付いた砂を払って縁側を上がった。
丁度いい具合にみつさんが夕餉の支度を知らせてくれた。
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