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ここら辺の山一帯が鴻池の敷地と聞いている。
元来夜行性の動物で半妖なのだから獣化して動き回るのは好都合なのか?
今日の月は満月。半妖とて月の満ち欠けによって妖力も満ち欠けする・・・力が有り余っているのだろう。
縁側で彼が返ってくるのを待つことにした。少しカーディガンを羽織って月を眺めていた。
日の神・天照。月の神・月読、そしてその弟神・須佐之男。
天照は有栖さまが完全体だ。そして月読の力を持つ七夜、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を奉じる十六夜。
日本始祖神の三貴子神である三人が現世で蘇るとは何かあるのかもしれない。
今回の事件の為によみがえり時空の穴を閉じたのか?
目的はなんだ・・・?頭が痛い・・・・眩暈がする・・・・
だんだん意識が遠くなる中で銀色の毛皮が自分の周りを包んだのだけ感じて目を閉じた。
気がつくと温かなダブルベッドの中で眠っていた。
まだぼんやりする・・・ここのところ気分が良かったのにまた眩暈が来るとは・・・。
襖がすっと開いて七夜が入ってきた。
「夜中に縁側などにいるからだ。優斗に助けてもらったぞ」
「えっ?」
あの銀色の毛皮・・・優斗君だった。なぜあの子は私を助けてくれたんだろう。
「お前、肩に何か憑いてるらしいな、見せてみろ」
いきなりパジャマをひんむかれた。
「風邪引いてんのに何だよ」
「やっと復学許可貰って来たのに風邪なんか引くからだ」
「・・・・優斗くんの獣化した姿があまりに美しかったから・・・」
「それはそうだろう・・・靫の獣化した姿も見事だったからな」
「その名を言うな」
「ふん、お前の気持が靫から優斗に乗り換えようとしていて靫に申し訳ないからか?」
「ちがっ・・・!」
「ほぅ、今は違うと言っておこうか」
鼻で笑って肩をしげしげ見た。
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