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「春山先生……」 それでも、 先生の長いまつげは 何の反応も示さず、 閉じられている。 「せんせい……。 すき……」 ――なんて。 聞こえてない、よね……。 わたしはもう一度、 ゆっくり顔を近付けて――。 先生の唇に、そっと唇を重ねた。 初めて知る柔らかな感触に、 胸の中をくすぐられるような、 不思議な気持ちになる。 あ……。 唇も、すごく熱い……。 「んーーー…」 突然先生が寝返りを打ち、 飛び上がったわたしは 慌ててベッドの下に潜り込んだ。 頭をパイプの足にガツ、とぶつけ、 そのまま痛みにうずくまる。 いっ。……いたい……。
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