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わ。――やば。 ――誰か来ちゃった……っ。 浮かれ気分は一瞬で吹っ飛び、 わたしは青くなった。 養護教諭のおじいちゃん先生が 戻って来たのだとしたら、 脱出はかなり困難になる。 ヒヤヒヤしながら ベッドの下から覗くと、 ――サンダル履きのキレイな脚が見えた。 明らかに女性だ。 ……よかった、 おじいちゃん先生じゃない。 安心して胸を撫で下ろしていると、 その脚はまっすぐこちらに向かって 歩いてきた。  迷わずカーテンを開け、 中に入ってくる。 「春山くん」 少し掠れた、甘くハスキーな声。 ――フジコ先生だ。
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