可奈

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5階のフロアが見えてきた。 降りたらシャワーが待ってると思うと自然に笑顔になる。 自分だけが誰かにつけられてる訳じゃなかったと分かり恐怖心も消えかかった時――― 何気なく鏡の中の女を見た。 すると女の艶やかな赤い唇がニィーっとつり上がってゆく。 !!? ゾワゾワっ!! 一気に鳥肌が!! 振り返ると女は無表情のまま。 見間違いかと再び視線を鏡にむけると! やはりニィーと笑っているのだ! それを見て可奈の頭と体が危険だと信号を出した! すると 「ねぇ?あなた意外に足早いのね?なかなか追いつかなかったわ? だってヒールって走りにくいのよっ!!」 女は徐々に声を張り上げ可奈に近づく。 可奈はドアに背中を押し当て早く開かないかと祈る。 「あなたの爪綺麗よね?毎日見てるわ…だから私にちょうだい」 女はカバンから包丁を取り出した。 「いっ…いやああぁっ」 可奈はエレベーターのドアをガンガン叩いた。 「早く開いてぇぇ!」 女に肩を掴まれ勢いよく振り向かせられる。 その力は可奈の想像を越えていて体ごと壁に引きすられた。 「それとね♪あなたの目も好きなの♪」 笑顔で女は語る 「だって…アンタ毎朝俺の事見てんじゃん」 エッ! 急に低い声になった… 男なの…?
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