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丸いプレートは亜紀の小さな指が触れると、左右にブラブラと揺れた。
何のボタンだろ?
でも…
赤は止まれの色だもんね?
子供ながらに赤がどういう意味なのか感じとった。
よし!!
押してみよう!
亜紀は震えながらプレートの奥の赤いボタンを力一杯押した。
ガガガッ!
…ガシャン…
不穏な響きの後エレベーターのランプは消え、シーンと静寂が訪れた。
フー フー
まだ興奮気味の亜紀の呼吸が聞こえる。
完全に止まったエレベーターを見て、亜紀はミルミル笑顔になった。
「やったー!勝った!」
本当に悪役を倒したように亜紀は『お化け屋敷』を飛び出した。
「おーい誰か!」
止まったエレベーターの中から小さく宗太の声が響く。
赤いボタンを隠すプレートが微かに左右に揺れる。
ドン…ドン…
扉を叩く音。
『非常停止ボタン』
と書かれたプレートの動きが止まった。
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