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またテンションが下がる事を思い出す。
1つ嫌なことを思い出すと今日一日の嫌な事を思い出す。
会社でのミス、伸ばした爪が折れた事、給料日前の出費、あの男の生暖かい息…
思い出した瞬間体に悪寒が走った。
思い出すの止めよう。
エレベーターのドアが開き可奈は乗り込んだ。
階数のボタンを押そうと正面に振り返った。
ヒッ!!!!!
あまりに驚き声を上げた。
さっきまで可奈一人だったはずなのに…
エレベーターの前には髪の長い女が立っていた。
夜だというのにつばの付いた帽子を目深にかぶっている。
花柄のワンピースの下からは真っ赤なヒールが見えた。
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