プロローグ 不幸と奇跡は紙一重

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でも、息子が事故に遭って大怪我を負った時くらい、いくら忙しくても普通帰って来るもんだよね? そう、俺はまた事故に遭った。登校中歩いていたところ、一台のトラックが突っ込んできたのだ。 それも、受験しようと思っていた県立高校の受験日の三日前に。 病院のベッドで目が覚めたときには、もうとっくに受験日など過ぎ去っていた。五日間人事不省の状態だったのだからかなりの重体だったのだろうが、実際死んでもおかしくなかったレベルの怪我らしい。 体が丈夫でよかったと思う。だけど、いくらなんでも入院先の病院に父親が来ないで、親戚と担任しか来なかったのはどうなんだろうか。 そしてベッドの上で聞いたのだ。県立高校含め、ほとんどの高校受験は終わってしまっているということ。 でも、『国立高校の特別入試』ならまだやっていることを。
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