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つられて笑みを浮かべながら、 わたしは密かに、胸の奥の 鈍い痛みに耐えていた。 ――諦めなきゃ、いけない。 先生から、最後のキスを もらったんだから。 それだけで充分だと 思わなくちゃ……。 そう言い聞かせても、 先生の微笑みが 優しければ優しいほど、 わたしの心は切なく軋み、 哀しげな音を立てる。 この想いを完全に 切り捨てることなんて、 ……わたしに出来るんだろうか。
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