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「とにかく、生徒に授業を
サボらせるわけにはいかないよ」
先生は、腕時計に
ちらりと目をやった。
「榊先生をお待たせしてるから、
もう行くよ。
ちゃんと経過は伝えるから、
安心して」
先輩の肩をポン、と叩くと、
先生は足早に廊下を歩いて行った。
渡り廊下の方に折れ、
姿が見えなくなる。
先生が去った後も、
先輩は俯いて何かを考えていた。
「先輩……?」
声をかけると、
その目がこちらに向けられ、
何かに気づいたように
一点に留まる。
「……首……」
「え?――あ」
わたしはキスマークを隠すように
首元に手のひらを当てた。
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