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閉めたドアに寄り掛かり、
大きく息を吐く。
コンシーラーで隠した
つもりだったんだけど……。
わたしはポケットから
手鏡を出し、首筋を
確認した。
――やっぱ、
隠しきれてないか……。
小さな痣の向こう側に、
苦しそうな先輩の顔が過る。
――先輩――。
無理やり首を吸われた時の
ちくりとした痛み。
きっと、先輩の心には今、
この小さな痣とは
比べ物にならないほど
大きな傷が刻まれている。
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