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そのままぼんやりと ドアに寄り掛かっていると、 「椎名」 その声に反応して、 心臓がピクンと跳ねる。 見ると、渡り廊下の方から 春山先生が足早に 歩いて来るところだった。 ドアから身体を起こし、 ひょこっと姿勢を正す。 ――どうしよ……。 目、合わせられない。 こういう時って、 どこを見れば……。 「……どうしたの。 目、泳いでるよ」 「……」  先生はくすっと笑って、 「今から俺、出かけるからさ。 今日の下校放送、誰だっけ」 「あ、……わたしです」 「そっか。じゃ安心だな。 よろしく頼むよ」 「はい」 ――おでかけって、 ……どこに行くんだろう。
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