665人が本棚に入れています
本棚に追加
そのままぼんやりと
ドアに寄り掛かっていると、
「椎名」
その声に反応して、
心臓がピクンと跳ねる。
見ると、渡り廊下の方から
春山先生が足早に
歩いて来るところだった。
ドアから身体を起こし、
ひょこっと姿勢を正す。
――どうしよ……。
目、合わせられない。
こういう時って、
どこを見れば……。
「……どうしたの。
目、泳いでるよ」
「……」
先生はくすっと笑って、
「今から俺、出かけるからさ。
今日の下校放送、誰だっけ」
「あ、……わたしです」
「そっか。じゃ安心だな。
よろしく頼むよ」
「はい」
――おでかけって、
……どこに行くんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!