プロローグ

2/2
146人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「普通」 って凄くいい言葉だと思う。 少なくとも、俺の人間性を表すにはこれ以上無いほど最高の言葉だ。 勉強も普通。 運動も普通。 伸長も体重も凡そ普通だと思うし、 顔なんて、まさにその辺ブラブラしてたらいくらでも出くわしそうなくらい普通。 今まで生きてきた人生だって、特筆するようなことは何も無い。 それは高校に入ってからも同じ。 そしてきっとこれからも。 人生、「最高」に超したことは無いけど、「最低」よりはずっといい。 俺は「普通」という自分のステータスを酷く気に入っている。 もっと言うなら、愛しているのだ。 「普通」というものを。 ……いや、これは言い過ぎか。 流石にキモいし。 でもまぁ、だから離れられない。 普通の日常。 波風立てず、淡々と過ごす日々。 俺はそれらに愛着を持っている。 誰かに「退屈しないのか?」と言われたら、俺は「退屈だからこそ、幸せなんじゃないか。」と答えるだろう。 波風立たず、登りも下りも無く、ただ平坦で真っ直ぐな道を歩くように、これからを過ごしたい。 …でも。 もし、突然俺の日常に変化が起こったら。 何かの反動のように。 たぶん、俺はそれにのめり込んでしまうんじゃないだろうか……。 ………何故だろう。 そんな気がしてならないのだ。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!