第1話

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教科書のページ捲りくらい自分でしようと思い、ペラペラと捲っていく。 板書は…まぁ、適当に鞄に突っ込んでいたルーズリーフに。 ……しかし、どうも現国…特に小説文には興味が湧かない。 いや、小説を読むのは嫌いじゃない。だが、それを何故学問的に分析しようとするのかが全く理解出来ない。 登場人物の気持ちなんて、言ってしまえばその著者にしか分からないものじゃないか。 人間、他人の気持ちは、想像することは出来るが、共有することは出来ないのだから。 そして丁度、今行われているのも小説文。 興味なんて、湧く訳がなかった。 チラリと、また隣の人物を盗み見る。 …やっぱ、綺麗だなぁ。 うん。 何度見ても綺麗だと思う。 …俺はホモじゃないけど。 (ここ重要。) 何というか、造りが綺麗なんだよな。 顔も、体躯も。 男らしく筋肉の付いた身体ではない。皆が騒ぎ立てる様なイケメン、でもない。 どちらかと言えば、細身で中性的。 それが何と無く、俺の美的感覚にしっくりと……ぴったりと…? ……何と言えば良いのやら。 ま、こんなの他人に聞かれたら、引かれること請け合いだろうから言わないが。 俺の人生における目標は「平穏無事」だからな。変なことになるのは勘弁。 そんなことを考えながら、何時の間にかじー…と見入ってしまっていたらしい。 「………あの…?」 ビクッ! 唐突に目が合って、しかも声まで掛けられてしまい。 気付かぬ内に、持っていたシャーペンがカラカラ…と音を発てて、手から抜け落ちた。
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