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ジャーっと鈍い音を放ちながら、バリカンの刃が俺の髪をそぎとる。
床に敷いた新聞紙の上に、パラパラと髪の毛が落ちて行く。
「貸せ、僕が後ろをやってやるから。しかし…何をやったんだ?何の罰ゲームだよ?」
恒星が俺の手からバリカンを取り上げ、後ろを綺麗に刈り上げた。
「あらやだ。昔のあなた達を思い出すわね。幼稚園の頃、パパがバリカンで頭を丸刈りにして。あなた達、だんご三兄弟って言われてたのよ。ふふっ…懐かしいなぁ」
お袋は昔を懐かしみ、何故かニヤニヤしている。俺は髪の毛がなくなり、ザラザラとした頭を右手で触る。まるで寺の小坊主だな。
だんごに逆戻りだ。
家族が次々と俺の頭を撫で回し、最後に大星が拝んだ。
俺はお地蔵じゃねぇ。
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