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思わず言葉に詰まった。悩んでいる、それだけは図星だ。
「そうか……奴らに口止めさせられているんだな」
強張る顔で呟くのを声の深刻さを聞いて、しまったと思っても取り返せない。事を荒立てずに済ますにはなんとしてもここで「無い」と断言しなければならなかったのに。
「違うそうじゃなくて――」
動揺してしまった。無理に体を屈めて顔を近づけたせいでバランスが崩れ、足が浮いて拘束が緩んだ。首はすかさず抜け出して窓の外に消える。
「わかった、もう何も言うな! 俺が必ず救ってやるからなああああ!」
絶叫が小さくなっていく。慌てて窓から飛び出してももう廊下に姿は見えない。教室まで追いかけようとも思ったが、間が悪く休み終わりのベルが鳴ってしまった。
教師に咎められて教室に戻りながら、災難が避けられるよう祈った。気休めの逃避に過ぎないとはわかっていながら。
◇◆◇◆◇
最初の変化は昼休みに入ってすぐに起きた。
トイレから戻ると教室の入口であまり面識の無い女子が待っていた。不思議に思いながらも大して気に留めることはなく、なにしろ自分の教室なので呼ばれるまでもなく中へと入る。
この中学に給食制はなく、生徒が弁当を持ち込んで昼休みに各々自由に昼食を取ることになっている。この時間にはいつも教室では机を固めいくつかの小グループに分かれて食事が行われているはずが、今この時にはそんな平和的な風景はどこにもなかった。女子ばかりが壁に沿って並び立ち机は片付けられ、不穏な空気が漂う怪しい集会の様相を呈している。
「あっ、これって」
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