第8話

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「じゃあ、新太からキスしてきたってこと?」 こくんと頷く立花。 「なんで、」 「分かりません。でも、円先輩を傷つけたって落ち込んでたんです。多分どうしようもなかったんだと思います」 新太のことを理解していると言わんばかりに話し続ける立花。 「だから、新太先輩のこと許してあげてほしいんです。お願いします」 円の方に頭を下げた。 「立花さん、頭上げて?」 優しく円が言う。 「円ちゃん、」 「立花さんごめんね、今は帰ってもらってもいいかな?ひとりで考えたいんだ」 「…はい」 先ほどまでの雨は通り雨だったのか、もう雨は止んでいた。   とぼとぼと歩いていく立花。 「あ、傘…」 ベンチには立花の傘が置きっぱなしになっていた。 「俺、渡してくるよ」 「りゅうくんもここまででいいよ?家すぐだから」 「…大丈夫?」 心配そうにいう龍也。 「大丈夫だよ?もう家すぐだし」 「そうじゃなくて、」 龍也が言いたいのはきっと私の気持ちの話だ。 「わかんないけど、でも今はひとりで考えたい」 「そっか。あ、じゃあ夏休み遊ぼうね!」 なんでもないように言う龍也。そんな龍也に思わず笑みがこぼれる。 「うん、遊ぼうね」
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