7人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
「じゃあ、新太からキスしてきたってこと?」
こくんと頷く立花。
「なんで、」
「分かりません。でも、円先輩を傷つけたって落ち込んでたんです。多分どうしようもなかったんだと思います」
新太のことを理解していると言わんばかりに話し続ける立花。
「だから、新太先輩のこと許してあげてほしいんです。お願いします」
円の方に頭を下げた。
「立花さん、頭上げて?」
優しく円が言う。
「円ちゃん、」
「立花さんごめんね、今は帰ってもらってもいいかな?ひとりで考えたいんだ」
「…はい」
先ほどまでの雨は通り雨だったのか、もう雨は止んでいた。
とぼとぼと歩いていく立花。
「あ、傘…」
ベンチには立花の傘が置きっぱなしになっていた。
「俺、渡してくるよ」
「りゅうくんもここまででいいよ?家すぐだから」
「…大丈夫?」
心配そうにいう龍也。
「大丈夫だよ?もう家すぐだし」
「そうじゃなくて、」
龍也が言いたいのはきっと私の気持ちの話だ。
「わかんないけど、でも今はひとりで考えたい」
「そっか。あ、じゃあ夏休み遊ぼうね!」
なんでもないように言う龍也。そんな龍也に思わず笑みがこぼれる。
「うん、遊ぼうね」
最初のコメントを投稿しよう!