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「頼むよ!手に入れるの超大変だったんだって!」
「知るか、あほ」
「お前は円ちゃんがいるからいいのかも知れないけど、こっちは必死なんだからな!」
「じゃあ、そんな大切なもん落としてんじゃねえよ」
「いや、それはそうだけどー。つか、お前らの仕事じゃん!」
部室の入り口で言い合いをするふたり、ひとりは3年生の男子、もう一人はうちの部長の矢代新太。
ワックスでふわふわにしている明るい茶色の髪をだるそうに触る。
必死に頼む相手をめんどくさそうにあしらう姿は優しさの欠片もない。
「なに?あれ」
部室のソファーに座りイチゴオレを飲んでいた龍也が言う。髪のサイドを編み込み、可愛らしさが強調されている彼にイチゴオレはとても似合う。
「なんか、新太の友達らしいよ。女の子のアドレス書いた紙無くしちゃったんだってさ」
同じくソファーに横たわり、マンガを読んでいた海斗が答えた。長い足がソファーからはみ出ている。
「へえ。てか、さっきから海斗の携帯うるさいんだけど、早く出なよ」
鳴り止まない携帯、相手は女の子ばかり。
「やだよ、めんどくさいじゃん」
「あっそ、」
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