十六

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暫くして男が通話を終え出てきた、そこへ空かさず彼女が駆け寄った。 会話の内容は聴こえないが見る限り歓談といった感じだ、先ほどの不機嫌な男の様子から断るだろうと踏んでいたのだが。 「シオリ~、OKだって♪」 まぁ男なんてそんなもんだ。 渋々二人に合流し、彼女の紹介に合わせて無愛想に軽く会釈した。 男の名前は清人、二十四歳、大手ビジネスホテルに勤めており、此処には転勤で越して来たばかりだと言う。 「まさか逆ナンされるとはな~。つか、2人とも本当に16?見えね~。特にシオリちゃんだっけ?20歳つっても通るんじゃん?」 「よく言われる」 「ねー、車でどっか行こうよ?」 「いいけどオレ、明日も仕事だからそこら辺ドライブでいい?」 「ぜんぜんイイよ♪」 車へと向かう清人に続き、歩き出そうとした彼女を引き止めアタシは帰る旨を伝えた、最初からそのつもりだったし。 それにこう言っては何だがこの場合、男に選択肢は与えない方がいい、ややこしくなるだけだ。 「えー、なんで?付いてきてよ」 「いや、逆になんで付いてかなきゃいけないの?1対1の方が都合いいでしょ?」 「警戒しろって言ったのシオリじゃん。シオリが行かないならいいよ、ナオも行かない」 「は?なんでそうなんの?1人でも行くつもりでナンパしたんじゃないの?行きなよ」 押し問答していると、行かないのか?と清人から声が掛かった。 だからホラッと彼女をせっついた。 だが彼女は少し待ってと清人に返事をすると、こちらに向き直り両手を合わせた。 「お願い!これで最後にするから…ね?トモダチでしょ?」 それで折れてしまうアタシもつくづく甘いとは思うが、でもここで折れなかったら後々も文句を言われることは目に見えている。 だから、本当にこれで最後だからね!と強く念を押してから車へと向かった。
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