木の葉

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君はいつも来てくれたね 僕の木に寄りかかって座り 本を手に取りずっと見ていた そんな君を僕はずっと見ていた 気付かれないように上からそっと どんな本を見ているのだろう 君はよく笑っていたから 僕は思わず声をかけてしまった “楽しそうでいいですね”って 僕の声は決して君に聞こえない なのに君は上を見上げて 僕に笑いかけてくれたんだ びっくりしたけど嬉しかった たった一度だけ僕に向けられた 君の笑顔が素敵で僕は恋をした 人を好きになるのは初めてで こんな気持ちは初めてだった 出来ればずっと君を見ていたい だけど僕の命はあとわずかで もうすぐ君に会えなくなるんだ やがて秋になれば僕は赤くなり 風に飛ばされ落ちてしまう そして枯れて粉々になり 僕の心は消え行くかもしれない だけどねずっと覚えていたい 君のこと忘れたくないな たとえ二度と会えなくなっても
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