別れの朝

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……次の日。 目を覚ました私は、朝日が眩しくてカーテンを引いた。 カーテンの隙間から眩いぐらいの光が差し込んでいたのだ。 昨日の雨は嘘のように、……快晴。 彼の部屋で大きく伸びをすると、その“空間”で何をすることもなく部屋を出た。 二階には3つの部屋があった。 何度か訪れた彼の家……その二階という場所に初めて足を踏み入れた。 しかも彼の部屋で泊まる日が来るなんて、思いもしなかった。 私は一階のソファーで眠る彼が気になって、早朝に目を覚ますと急いで階段を駆け下りた。 ……薄暗いリビングとキッチン。 その他、両親の部屋と思われる部屋が一室ある。 後はバスルームにトイレ。 彼の家の部屋は全て把握したといっても過言ではない。 ソファーに体を預けて、静かに目を閉じている彼をすぐに発見した。 その瞼に光る小さな雫……。 本当に、彼が抱えてる悩みを取り除いてあげたい。 妹さんのことで、何の力にもなってあげられないとしたら……唯一私が出来ることといえば、彼女のことだけだろう。 ……彼女がこんなにも彼を苦しめているのだとしたら、もう自由にしてあげてほしい。 彼の仮面をとってあげたい。 本当の彼に戻してあげたい。
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