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しかし、よく泣く。
仕方なく泣き止んで欲しさに抱っこ。
お、重い…。
「うにゃぁーーっ!うにゃぁーーっ!」
「泣き過ぎだよぉ?泣きやめぇ~、泣くなぁ~…」
普通に対等に話し掛ける。
気持ち悪い喋り方はしたくない。
彼も一応同じ人間だから。
男湯から出てきた背の高い男が、スッと私の前に立った。
「何、泣いてんだよ」
まさか、コイツの父親がコイツか?
ってか、良く見ると笑えるくらいソックリな顔。
「すいません、ご迷惑お掛けしたみたいで」
長い両腕を私の前に差し出して、つり目の色白の細長い顔した父親が、子どもを引き取る。
「おいで」
おいで…。
おいでって、私にむしろ言ってくれたら嬉しいのに☆
私はすぐに赤面させた。
やだな、カッコイイ☆
大きな胸の中に、子どもは埋められて、すぐに泣きやんだ。
私もそこに埋まったら、たちまち直ぐに泣き止んじゃいますけど、どうですか?
「あ、あの…転んじゃって。我慢したけど、やっぱり痛くて恥ずかしくて、どうにも泣いちゃいました…という感じで」
私が泣かしたと思われたくなくて、まるで自分がコケたかのように説明すると、
…チュッ…
子どものおでこに軽くキスをして、
「アホだなぁ、おまえ…よしよし、いい子だ…」
と優しい声で呟いたのだ。
やだやだ☆
何、今の?!
メチャメチャ、カッコイイ一瞬だったんだけど!
ってか、ってかさ!
私にもキスして欲しいよ☆
なんて、思っちゃったんですけど☆
「よし、じゃあ帰ろうか。ママが待ってるからな」
ママーッ!!
ママかよ。
ケッ!ママなんかどうでもいいよ。
うっとうしい生き物め!
今ので、キラキラの世界から一転して冷めたわ。
私に会釈して、片手で軽い荷物を運ぶように、子どもを抱いて銭湯から出て行った。
ヤッバイな…。
久々に至近距離でドキドキした。
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