clean 3 王子様は嘘つき

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すると、元彼の肩に手が掛かった。 …へ? 「…ん?」 私も元彼も、同時に動きが止まった。 「ちょっとあんたねぇ、俺の彼女に何してくれてんの?」 元彼は振り返り、私も身体を傾けて覗いた。 「俺の彼女?」 「あぁ、そうだけど。何か文句あんの?」 あぁっ?! あぁぁーーーっ!! 私は瞳孔を開かせ、見つめるその先にいたのは…。 「ほら、おいで」 元彼を無視して、両手を差し出される。 もちろん私はその手にすぐ掴まった。 こないだの、銭湯で出逢った子連れの男だった。 「誰なの、コイツ」 親指を元彼へと立てて、チラッと睨み付けて、その男は言う。 「ごめんなさい、元彼なの」 演技しなきゃ。 「そう、だけどなおまえ、元彼とは言え、あんまりむやみに愛想振りまくもんじゃねぇぞ、分かったか?」 「は、はい…」 「こういう危ない目に結局合っちまうんだから、それはおまえの自業自得だよ?なぁっ?」 「うぅっ…」 その男はグッと私を寄せて、頭を撫ててくれた。 「てな訳で、俺たち現在進行系の恋人同士なんでねぇ。あんたも立派な社会人なんだから、終わった関係なのに、ウダウダ今更言ったりすんなよなぁ」 この男は、何となく状況を把握していたのだろうか。 上手く帳尻を合わせてくれていた。
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