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どうしよう…。
こんな我の強い事されたら、私持ってかれちゃう。
私の心、グイグイ持ってかれちゃうよ。
「で、あんたの家はどこなの?とりあえず送ってあげるよ。引っ越し屋にちょっと一言言っておかねぇとな…」
引っ越し屋?
「わ、私の家はここですけど」
「はぁ?」
「だから、ここの201号室」
私は指を差した。
「はぁぁ?森ノ水アパートの、あんた住人?!」
男は、慌てて私から離れて遠目で私を見た。
「しかも201って、俺の真上かよ」
真上って、まさかこの男が私の真下に引っ越してきたって訳?
でも何で、そんな嫌な態度に突然変わるの?
「…チッ」
露骨に舌打ちしやがったし。
ってか、コイツのこのムスッとしたツラ。
コイツ、本性は性格悪いんか?
「こんな木造集合住宅なんて、年金暮らしの年寄りか訳有り人間しか、住んでないと思ってたのに…」
うわぁぁ…。
清々しい朝なのに、よくもまぁ毒舌かますよね、コイツ。
「しかも緑色に塗り替えて、ミドリムシみたいでキモチ悪ッ!」
ちょっと待ったぁぁーーっ!!
私の気に入ってる部分を否定されたら、こっちも黙ってないよぉぉ!
「引っ越してきた初日に愚痴るか普通…。そんなに不満なら別の場所に変えたら?この森ノ水アパートはこの緑色の外見で住む人も、ここを通る人も絶対癒されてんだからね!」
私の癒しを悪口で語るな!
「アホだなぁ、おまえ…」
キュン…
やだまた、それ言うから。
意味分からんタイミングで、心臓が縮まった。
いかん、今のはただ単にアホだと愚弄されただけ。
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